労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」―第4回

今回は「二重派遣」に付いて述べさせて頂きます。

派遣業界に身を置いた事がある方なら、二重派遣と言う言葉を聞いた事位はあると思います。

聞いた事はあるものの、実際に二重派遣とはどういった行為なのかを解説して行きます。

典型的な事例を挙げますと、貴方はAと言う派遣会社から、Bと言う派遣先に派遣されている労働者です。

雇用責任・労務管理責任等は当然に派遣元Aが負います。

その後、派遣先であるBから別の事業所Cで働くよう勧められ、貴方はCと言う事業所で働き始めました。これが二重派遣です。

即ち、元々の契約では派遣元Aから派遣され、派遣先Bで就労する事になっていたにも関わらず、派遣元では無いBの命令によりCで就労すると言う事は、労働者供給事業に該当し、職安法44条の(労働者供給事業の禁止)に抵触する訳です。

しかも、派遣先Bが派遣先Cより労働者供給に対して賃金を受け取っているのであれば、労基法6条(中間搾取の禁止)にも抵触します。

上記理由から二重派遣は厳しく取り締まられます。二重派遣を行った者への罰則は1年以下の懲役または100万以下の罰金が適用されます。

派遣労働者はあくまでも雇用主である派遣元の命令により就労する派遣先以外で、派遣社員として働く事が禁じられているのです。

こうした制度が確立した背景には、我が国に置いて業務請負の際に、委託・下請け・孫請けと言った間接雇用が横行し、賃金が中間搾取されたり、タコ部屋といった人権侵害が多く行われて来たからです。

例外として、一定の条件を満たした労働組合による労働者供給事業は業として認められておりますが、他は一切の例外なく労働者供給事業を固く禁じています。

最後に筆者自身が経験した事例を挙げて置きます。

派遣元Aが派遣労働者と個別労働契約を締結し、派遣先Cで就労する事となりました。ここまでは労働者派遣事業として、何の問題もありません。

ところが、実際に派遣先Cに置いて派遣労働者の指揮命令や労務管理を行っていたのは、派遣元Aより委託された別の派遣会社Bでした。

派遣会社Bは派遣労働者の労務管理を委託するという名目で、派遣元Aよりマージンを受け取っていたのです。

ちょっと判り辛い事例ですが、これもれっきとした二重派遣に該当します。

雇用関係が生じるのはあくまで、派遣元Aと派遣労働者の間に置いてのみです。

この関係の中に第3者は一切の介入をする余地はありません。

ここが二重派遣か否かを見抜く大事なポイントとなります。

次回は請負業務と偽装請負に付いて触れて行きます。

(2014年7月19日 児玉伸也)

組織当事者のハラスメント・組織の自浄作用が問われている

組織当事者のハラスメント・組織の自浄作用が問われている

東京都議会や国会におけるセクシャルハラスメントのやじをめぐって、全国及び世界からもその対応についての自浄作用が問われている事態となっています。それは東京都議会であり国会そのものへであり、またセクハラを行った本人が所属する自由民主党自体へその自浄作用をどう働かすのかの姿勢が問われています。そしてその結果によって世間からのその組織に対する信頼が大きく影響するということにつながっていくことになろうかと思われます。

問題となったハラスメントを行ったのは、その組織を構成し責任を果たす一員である都議会議員であり国会議員のことを指していました。つまり本来はハラスメントに対して決然とした態度で行政を監視すべき役割を持つ本人自身がハラスメントを行っているということとなります。すなわち、これが会社や団体においては役員自体がハラスメント行為の主体者だったということになります。本来であればハラスメントを取り締まる側の方がハラスメントを行っているという、本末転倒だっということになります。

ハラスメントは不法行為にほかならず、場合によっては刑事事件にまで発展します。また、精神労災の認定基準においても業務上における「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」という具体的出来事は、心理的負荷の強度が「強」と位置づけられています。また、嫌がらせやいじめや暴行を受けた結果によって身体的に異常が生じた場合は、患部の写真撮影や病院での診断の事実を証明する証拠が揃えられ次第、謝罪や損害賠償請求を内容証明郵便で行うことができます。そして、それは刑事告訴も可能だったり、実際の暴力や暴行が繰り返される場合には暴力差止裁判請求や警察への連絡(110番でOK)で「調書」をとってもらうことも可能です。

問題となったセクシャルハラスメントは言葉によって行われましたが、議会では議場内での発言の許可・制約はその議事運営を統括する議長や委員長が行いますが、一般社会においては言葉や文章も暴力行為とみなされる場合(嫌がらせ電話をかけ続けて精神を衰弱させた事例など精神的ストレスを与えることによって精神に関連する障害を生ぜしめたことについて傷害罪が成立)があります。

組織の自浄作用という話に戻りますが、行政機能の巨大な組織となると監察官制度を設けることや、民間公共を問わず内部通報制度を設けて監察担当者もしくはコンプライアンス担当者による調査結果を必要な是正措置案を理事及び監事に示します。内部規律が高ければ高いほど、組織内の曖昧な結果に許さないことができることになるでしょう。

ハラスメント防止をテーマにする人や団体は、とりわけその当事者自身がそのようなハラスメント行為を行っているとしたら、重大な綱紀違反を犯していることにつながっていきます。今回、自治体・国会における議会の議員がハラスメント行為を行っており、それへの自浄作用が無いということは、非民主主義の独裁者の専横を許す国家の水準にも近いという印象をあきらかにします。また、男女平等やハラスメント防止をいくら掲げていたとしても一切の信用は得られないということがわかります。(2014年7月6日稲垣 真司)

「労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」―第3回

「労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」―第3回

第2回目では、契約内容に関する事を述べさせて頂きました。この絶対的明示事項は期間の定めの無い労働者であろうと、有期労働者であろうと一律に明示義務が生じるものです。

派遣の場合、有期雇用契約なので、何時までその派遣先に置いて就業できるのか?という抵触日という項目が加算されます。お手元の雇用契約書に抵触日○○年○○月○○日と言う抵触日が記載されております。

ご存じのように、労働者派遣は一定のスキルを要する限定業務又は一定の条件を備えた場合を除いて、原則1年最長3年と言う期間の縛りがあります。即ち、抵触日を超えて同一労働者を同一業務・同一場所に派遣先が受け入れてはならないという法規上の期間です。

例えば3カ月の短期更新を反復しながら抵触日まで働く事が(特別な事情が無い限り)通常にあります。
この3カ月と言う期間はあくまで、派遣元と当事者との契約期間になる訳で、抵触日に至る前にその契約終了となるのが、雇い止め、いわゆる派遣切りとなる訳です。
ここでこの反復契約が、3回以上更新又は1年を超えての継続勤務となった場合には、労基法第14条(有期労働契約基準)に置いて、使用者である派遣元が講じなければならない義務が生じて来ます。

①雇い止めの予告。
有期労働契約を更新しない場合には、少なくとも当該契約の期間満了日の30日前までに、その予告をしなければならない。
これは、労基法第20条に置ける解雇予告等の義務と同一な内容、即ち、使用者側の解雇予告の30日前通知、若しくは解雇予告手当の支払い義務が生じると言う事です。

②雇い止め理由の明示。
有期労働契約を更新しない場合には、派遣労働者が当該契約を更新しなかった理由について、証明書を“請求”した場合には遅滞なくこれを交付しなければならない。
即ち、更新しなかった理由を証明書により使用者に請求出来る訳です。
その理由如何によっては、解雇権の濫用として雇い止めが無効とされる場合があります。
但し、労働者からの請求が無かった場合にはこの限りではありません。
又、この反復契約が1回以上更新し“かつ”1年を超えている場合には、使用者側には契約期間についての配慮が求められます。

条文通りに書きますと、「使用者は、有期労働契約を更新しようとする場合には、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間を出来る限り長くするように“努めなければ”ならない。」
これはあくまで努力義務である為、殆どの場合が反復契約の期間延長に関しては以前のままと言うのが実態でしょう。

最後にクーリング期間について触れて置きます。
派遣可能期間は最長で3年である旨上記で述べましたが、抵触日満了日以降3カ月超派遣先が派遣受け入れを行わなければ、3カ月と1日後には又派遣を受け入れる事が出来ます。
この3カ月と1日と言う期間がクーリング期間と呼ばれるものです。
これは2013年4月1日施行の、無期労働契約への転換におけるクーリング期間とは異なりますので、ご注意ください。(2014年7月5日 児玉 伸也)

ハラスメントに厳しい態度で臨む「働く人のセーフティネット」

7月26日には「働く人のセーフティネット」のセクハラセミナーが行われます。ハラスメント根絶に団体の最大の特徴を持つ「働く人のセーフティネット」のセミナーです。講演に立つのはハラスメント根絶に向け、人へのハラスメントはするのもされるのも見て見ぬふりも許さない姿勢のセーフティネットの仲間です。詳細についてはセミナー告知をご覧いただき、ぜひお越し下さい。

「働く人のセーフティネット」では、ハラスメントの根絶を会是にしています。会則第3条目的において、ハラスメントによる受けた心身のキズの回復を支援する活動やそもそも会社などでのハラスメントが起きない仕組みづくりに活動を行うものとなっています。

また、会則第4条ではその目的達成のために、社会教育推進や男女共同参画社会の形成など、会自体が一般社会においても誤りのない潔白な姿勢において、誠実に社会へ向けて若年者から老齢者を対象に、男女間の一切の差別に基づくことなくその活動を行っていくことを活動としています。

また、自分が受けた経験を持ってハラスメントを世の中から根絶するという「ハラスメントゼロ」活動を積極的に推進するメンバーの力強い活動が展開されています。事務局長である自分も、ハラスメントを「しない」「させない」「見て見ぬふりしない」活動に全力を挙げるものです。

ハラスメントとは、あらゆる種類のハラスメントが存在し、セクシャルハラスメント・パワーハラスメント・モラルハラスメント・アカデミックハラスメント等々、内容や行為、場所、時間等々、あらゆるシチュエーションで存在している嫌がらせ行為です。その方法は潜航的であるといってもよく社会に表沙汰になっていくのは、ずっと後のことだったり過酷な結果になったことが生じたことをきっかけになったということがほとんどです。

だからこそ、ハラスメントをやってはいけないと高い自覚をもっていく必要があります。「働く人のセーフティネット」では、他者にハラスメントをするなと求めるだけではなく、自らも会の内外においてハラスメントを行った場合には厳しく対処することを自ら宣言しているものです。

「働く人のセーフティネット」では、ハラスメントの防止等に関する細則 を設けています。
そこでは、細則第1条の目的に「この細則は,任意団体働く人のセーフティネットにおけるハラスメントの防止及び排除のための措置並びにハラスメントに起因する問題が生じた場合に適切に対応するための措置に関し,必要な事項を定めることにより,会員の活動上の適正な環境の確保,会員の利益の保護を目的」としてハラスメント防止細則を置き、さまざまな嫌がらせ等の不適切な言動や行為やネット上でのコメント等を定義しています。

また、第2条定義で、各種のハラスメントを定義づけています。セクハラやパワハラなどの社会問題化しているハラスメントの定義を明らかにしています。

まだ、細則第2条第4項では、その他のハラスメントで、「(ア) 上記(2),(3)のほかに,会員と会員との間で行われる不適切な言動・行為及び差別的な取扱い (静かに,じわじわと,陰湿に繰り返し行う精神的ないじめ,嫌がらせなどのモラルハラスメント等)、(イ) 会員と会員以外の関係者との間で行なわれるハラスメント、(ウ) ハラスメントに準ずる言動・行為やネット上でのコメント」として、会の内外においてハラスメントが起きた場合には、徹底的に調査しハラスメントの防止及び排除に努めるようにしなければならないとしています。

そして、会則第11条では、「この会の名誉を傷つけ、又は目的に反する行為をしたとき」は除名することができると規定しています。

「働く人のセーフティネット」では、品格・見識のある会にするという会内のコンセンサスは徹底されています。特にハラスメントに対して厳しい態度を会がとることは当会の必定たる特徴です。

そして、会の内外を問わず、当会会員が、どんな根拠があろうとも特定の相手や個人を脅迫・パワハラ・誹謗中傷のネット上の書き込み・虚偽告訴・嫌がらせ・暴力的言辞・脅し的言辞をもって弄することを決してするものではありませんし、してはならないという認識に立っています。

もはやハラスメントは、いったんそれが起きた際には、内外問わずハラスメントを起こした会員の所属する団体の社会的信用を地に落とすだけでなく、団体内へ刑事捜査の対象にもつながっていく可能性も否定できません。ハラスメントはそうした位置にまで社会的に認識され始めているといっても過言ではありません。

もちろん「働く人のセーフティネット」では、役員が先頭に立ってハラスメントを自らも起こさないことは当たり前ですが、「働く人のセーフティネット」に所属する役員や会員がそれらを行っていると苦情等があるなどした場合は、ハラスメント根絶を会是としている当会は、当然ながら徹底的な解明をはかるなどの適切な対応をとることとなります。

最後に「働く人のセーフティネット」はあらゆるハラスメントを許しません。会則にもハラスメント防止細則を整備し、身内に甘いようなことは、監事はじめハラスメント根絶を会是とする曖昧としないメンバーが許しません。何かハラスメントでお悩みがあればぜひお話ください。安心して会にご参加ください。(2014年7月5日 稲垣眞司)