カテゴリー別アーカイブ: 労働法(労働基準・労働契約・安全衛生など)

今年も「働く人のセーフティネット」をご支援くださりありがとうございました

今年も残すところ、あと数日となりました。
普段は残業に追われ、なかなかお時間が取れない方も、年末年始は一息つけるのでしょうか。
もし普段、職場で何らかの疑問点をお持ちでしたら、この機会に整理することをお薦め致します。ご自身の問題がどこの管轄の扱いなのか、確認することも大切です。

● 労働基準監督署に相談できること。
・雇入れのときの労働条件の明示
・労働時間の上限(1日、1週)
・労働の開始時刻と終了時刻
・会社が、法律の上限を超えて働かせても良い上限の労働時間と手続き
・会社が与えなければいけない休日数(週1日または4週4日)
・会社が与えなければいけない休憩時間(6時間超えは45分、8時間超えは1時間)
・有給休暇の権利が発生する要件と日数
・労災保険給付などに使う平均賃金の計算の仕方
・労災申請必須書類
・賃金のルール(締日、支払日、計算期間、支払方法、全額支払い)
・法定外労働に対する割増賃金(法定時間外労働、深夜、法定休日に対する賃金)
・最低賃金
・解雇予告期間と解雇予告手当のルール
・年少者(未成年者、18歳未満、15歳要件)
・安全衛生管理(健康診断、有害・危険な業務など)
その他

労働基準監督署は、労働基準法に書かれている範囲のことを扱います。しかしそれ以外のことや民事的判断を要することなどは、介入に限界があります。
ちなみにパワハラや解雇、マタハラ、セクハラに関しては、各都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が実効的な相談窓口となりますので、お一人で悩まず、まずは電話で面談予約をしてみてください。

 

今年も「働く人のセーフティネット」をご支援くださり、ありがとうございました。
これからも働く人の受け皿となれるよう、地道に活動を続けていきますので、来年もどうぞよろしくお願い致します。

有給休暇制度の正しい知識ー③

有給休暇制度の正しい知識―③

 

全回までに、有給休暇制度についての、付与要件や、有給は要件を満たした労働者の当然の権利である事、そして、経営者による時期指定権・変更権に際してお話させて頂きました。

最終話の今回は、今、厚労省で審議中の有給休暇の付与を事業主に義務化させるという制度のお話をさせて頂きます。

 

現在、厚生労働省に置いて、有給休暇の取得を(原案では年5日)経営者に義務化させると言う審議がなされております。

政府としては、有給取得率の向上を狙った苦肉の策である事は間違いないのですが、ここでこの案のメリット・デメリットに付いて触れたいと思います。

 

 

先ず、メリットとしては従来、有給が取りたくても取れない状況にいた方々が、この義務化によって、有給の取得が可能になると言う点です。

中には、義務化させた所で、夏休みや年末年始の休みを有給に振り替えられるだけで、何も変わらないと言った意見も耳にしますが、例えば、所定休日が週1日(又は特例の4週4日)のみ、盆・暮れも関係無い(休日では無い)方々に取っては、所定休日以外に、休暇が取れる状況は望ましい事だと思います。

それと、誤って欲しくないのは、有給と言うのは本来は労働日であるにも関わらず労働義務が免除される日だと言う事です。即ち、会社の年間休日の中に盆・暮れの休日が含まれていれば、その日はもともと労働義務が免除されているので、そこに有給休暇を当て込む事は出来ません。

ですから、労働義務が免除されている休日に、有給を振り替えて当てると言う事は法律上出来ないのです。

 

 

デメリットとしては、有給制度と言うのは本来の趣旨からすると、労働者の心身のリフレッシュに充てると言うのが目的で有る為、それを指定されて取得となると、法本来の主旨から外れ、本当に取得したい日に日数が足りなくなると言った事も十分に想定されます。ここは一考の余地がある部分では無いでしょうか?

 

何れにしましても現在はこの審議が法案として提出・可決されるかを待っている状況です。

 

最後に、特に中小の中には有給取得など出来ない、休みたくても変わりがいないと仕事が回らなくなる等々と言った理由で有給申請がなかなか出来ない方が存在する事が多々あります。

 

しかしながら、何度も言いますが、有給制度と言うのは労働者に与えられた権利です。事業主の中にも会社が付与するものと勘違いされている方も多いでしょう?この事をしっかりと頭に入れて、有給制度に付いて経営者とお話しされてみるのが良いかと思います。双方誤解であった場合、取得がしやすくなります。

自分が休んだら変わりが居ない=休めないと言った方々でも、会社と言うのは何とか回るものだと言う事を申し上げて置きたいです。

労働者と経営者の正しい知識のインプットと意思疎通こそが一番大切で有る事をご理解ください。フォロー体制の構築にも繋がります。

頑なに有給申請を認めない経営者がいた場合は、労基署若しくはお近くの社労士にご相談に行ってください。

当会に置きましても、有給取得についての相談は可能である旨、付け加えさせて頂きます。

 

(2015年4月25日 児玉伸也)

有給休暇制度の正しい知識―①


有給休暇制度の正しい知識―①

   「会社が有給休暇を取らせてくれない」良く聞かれる質問です。
そもそも、有給休暇とはどういった制度なのでしょう?労働基準法第39条には“6カ月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し又は分断した10労働日の有給休暇を与えなければならない”と有ります。

皆さんが誤解しているのは、有給休暇は会社が与えてくれるものと思ってしまっている点です。上記にも有りますように、実際に労務の提供(労働)が開始されて、6ヶ月間8割以上の勤務率があれば、有給休暇は労働者の当然の権利として付与される事になります。
会社の許可や認可が必要な休暇ではなく、上記要件を満たせば労働者の権利として当然に付与されるものが有休休暇なのです。

勿論、就業規則などによって取得日の○日前までには申請する事等規定されている場合もありますが、有給を取得させると言う前提であれば、これを持って法違反とはなりません。常識的に考えて、事前に何時何時休みますと報告さえ入れれば処理としては問題ありません。

中には当日欠勤や欠勤後も有給消化として処理してくれる企業も有る用ですが、勤務先の事情も考え、休みが判ったら早めに申請しておくのがベターでしょう。

 

※実際の付与日数は下記表の通りです。

継続勤続年数 6カ月 1年6カ月 2年6カ月 3年6カ月 4年6カ月 5年6カ月 6年6カ月
実際の付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

 

上記付与日数は、所定労働時間通常勤務する者の付与日数ですが、アルバイト・パート等、労働日数が通常の労働者に比べて短い方も“比例付与”と言って、労働した日数に対して付与される有給制度があります。

この比例付与の対象となる方は、下記二つの何れにも該当する方です。
①週の所定労働日数が4日以下の者。
②週の所定労働時間が30時間未満の者。

上記2点を両方とも満たすものが比例付与の対象となります。この要件のどちらか一方でも掛けていれば、通常の付与となります。

※比例付与による付与日数の計算方法。
原則的な付与日数×週の所定労働日数/5.2日

例えば、比例付与に該当する者が6カ月8割勤務の要件を満たし、その方の週所定労働日数が4日だった場合。
10日(原則的な付与日数)×4日(週の所定労働日数)/5.2日=7.69となり、端数は切り捨てるので7日の付与となります。

次回は、使用者による時期指定権や変更権、現在審議されている有給取得の義務化、上手に有給を取得するには?に付いてお話しさせて頂きます。(2015年4月17日  児玉伸也)

 

「同一価値労働・同一賃金」って何?

「同一価値労働・同一賃金」って何?

賃金の支払い方について定めた原則です。賃金について考えると当然、同じような仕事をしているのなら同じような賃金をもらっていて当たり前と思ったことはあるでしょうか?

しかし、統計で男女の性別で大きく賃金格差があることや、そもそもパートや派遣労働、有期雇用社員などで賃金体系自体が正規社員と異なっていることから非正規労働者の方が賃金が低かったりすることがあります。

かつては男性の賃金体系よりも女性の賃金体系自体が低いということもありました。とりわけ現代では男女の賃金差別は厳しく禁止されています。それは、ILO(国際労働機関)100号条約で「同一価値労働・同一賃金」の原則がうちだされ、日本では1967年に批准することによって定められました。

「同一価値労働・同一賃金」は、賃金差別を認めず、同一の価値の労働に対しては、性別による区別を行うことなく、同等の賃金を与えなければならないと決めた原則です。

「同一価値労働」とはなんでしょうか?それは労働の質を客観的な評価基準をもとに職務を評価することという説明があります。たとえば、①知識・技能、②精神的・肉体的負担、③責任、④労働条件などが評価対象とされ、この評価が同一の水準ならば男女の区別なしに同じ賃金を使用者は支払わなければなりません。

しかし、批准したのはいいですが、日本政府の取り組みが遅れているとして、2008年にILO条約勧告適用委員会から「男女が行う職務または労働を、技能、努力、責任、あるいは労働条件といった客観的要素に基づいて比較すること」と労働基準法の改定するように勧告されています。(2015年3月26日 稲垣 真司)

年次有給休暇を請求したら代休で処理された話

今回の話は、私が受けた労働相談をフィクションを交えながら紹介します。
私、過去に以下の労働相談を受けました。
相談者曰く、正社員ということで何度も休日出勤させられ、その上長時​間労働が続き、休まないと精神的にも肉体的にも限界に達してしまうといことで年次有給休暇を上司に申し出されたそうです。しかし事業所の責任者は有給ではなく休日出勤した際の代休を優先的に取得しなさいと言い(法律的にも有休より代休が優先されると言い放った様子)、申し出た有給を却下しました。
相談者は法的に代休の取得が優先されるべきと言うことは本当なのかと疑問に思われているようでした。
おそらく使用者(事業所の責任者)は代休として処理することで、休日出勤した日の賃金支払いを免れようとする意図があったのでしょう。
また、本来ならば代休で処理したとしても休日出勤における割増賃金の35/100(35%)は支払わるべきであるのに、この様子だと割り増し分さえ支払われていなように思われます。
有給の時季指定権は何よりも優先されてしかるべきなのに、このように代休で処理する企業が現状多く散見されます。
この記事をご覧の皆さん、会社から代休で処理したいと言われても、有給を申請すればそれが優先されますのでしっかりと断りましょう。また、代休を取得していなければ休日出勤の際に割増される35%分の賃金が給与明細に時間外労働分として記されているのかも確認してみましょう。
支払われていなければ賃金の未払いとして労働基準監督署に申告することも可能です。

とは言ってもお一人で会社に物申すのは勇気がいること。
一人で悩んでいるのでした、メールや無料労働相談でご相談下さい。
必ずや力になります。

(2014年6月15日 A.M)

心の病を患った労働者を解雇することは可能なのか?(事業主向け)

昨今、解雇規制緩和のニュースが世間を騒がせておりますが、実は労働基準法第20条で解雇は30日前に予告するか、また平均賃金30日分以上を支払うことで可能であると謳っています。
しかし、これでは労働者が使用者の恣意で解雇されてしまうことになりますから、労働契約法第16条で

解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

と釘を刺しています。
なぜ、釘を刺すと言う表現をしたかと言えば、労働契約法は労働基準法と違い、取締法ではありません。
労働契約法を犯しても刑事罰の対象とはなりません。
では労働基準法に従い解雇をしても構わないかと言えば、それは大きな間違えであり、被解雇者が解雇無効を争い労働審判の申立や裁判を起こせば、権利(解雇権)を濫用したとして無効であるという判断が示される可能性があるのです。

ここまで解雇について説明しましたが、では本題である労働者の病気(労務提供不能)による解雇は可能なのかについて話を進めます。

最近は、メンタル不全により長期間休職する労働者が増えています。その原因は様々ですが、仮にメンタル不全の原因が業務上の原因で発症したものだと労災認定されると、原則解雇はできません。
しかし、発症原因が業務外であるならば、解雇は可能です。
なぜでしょうか?
それは民法623条の条文が根拠となっています。

雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

雇用契約において、労働者は労働に従事することを使用者に約して報酬を得ています。
病気により、労務の提供ができなければ、使用者は雇用契約を解除(要は解雇)することが可能なのです。
しかし、労働者が心の病を発症して直ちに解雇したとします。これは誰が見ても納得でき(客観的に合理的な理由)、一般常識として認められる(社会通念上相当であると認められる)ものでしょうか。

私は認められないと考えます。


労働者が精神障害等の疾患を発症した場合には、診断書の内容とできれば産業医の意見を参考にし、休養を与えることです。
そして休養から復帰したら、ある程度のリハビリ勤務で体を慣らし、産業医や主治医と相談して10割勤務に復帰させましょう。
しかし、長い間労務の提供が不可能ならば雇用契約の解除も仕方ないと考えます。
休養期間やリハビリ勤務の期間を就業規則(または細則)に定めておき、解雇回避義務を履行している根拠を明確にすることが重要です。
また、雇用契約の解除をおこなうにしても解雇にはせずに、自動退職や合意退職の流れになるような規程が、その後の労使紛争を回避するため必要なはずです。

就業規則等の不備により、労使双方が争いになることは、共に精神的にも金銭的にもダメージとなります。
就業規則の整備や会社に即した労務管理をおこなって、できれば労働安全衛生法を遵守しメンタル不全労働者を出さないようにしていきましょう。

(2014年6月12日 A.M)

労働契約書を取り交わしていますか?

例)Aさんはある小規模の事業所に勤めることになりましたが、特に労働契約書は交わしませんでした。

全部口頭の説明で簡単に働いた際の内容を聞いただけです。第一に働く期間はいつからいつまでかはっきりとわかりません。

業務についてAさんにはなんとなくイメージがありましたが、結局はっきりしませんでした。言われたことをまずは担当させられるようです。

時給額は募集要項からわかっていますが、昇給やどのような基準で他の同僚たちとの違いの差がつくられているのかはよくわかりません。

 

社会人となり働かなければいけないと考える人には、会社や店舗、多くの働く現場での募集要項に多くの注意を払っていると思います。

働こうと思う人は、電話したり履歴書を送ったりして面接など行い採用結果を待ちます。そして晴れて採用となった場合には、もちろん出社や店舗に出向いて一通りの説明を受けることになるでしょう。

そのときに、労働契約書は取り交わすことはしていますか?労働契約書といっても契約書を取り交わす行為です。この契約書を取り交わさないことがあればそれは労使双方にとってダメージがあると当会は考えています。

実は雇った方もよくわかっていないことがあります。雇用していることはもちろん付属する社会保険や労働保険、源泉徴収の手続きはなんとかやれているものの、それ以上に何かあった場合の労使の関係についてよく定められているわけではないという実態があります。

ぜひ、労働契約書を取り交わしているわけではないという覚えがある労働者の方、使用者の方がありましたら当会へご相談ください。

労働基準法第15条においては、労働契約を締結するに当たって、労働条件(賃金や労働時間など)を労働者に明示することを使用者に義務付けています。明示すべき労働条件の範囲は次のとおりです。  (2014年6月12日 稲垣眞司)

1、 必ず明示すべき事項

(1)労働契約の期間に関する事項

(2)就業の場所および従事すべき業務に関する事項

(3)始業および終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇ならびに交替制勤務の場合における就業時転換に関する事項

(4)賃金の決定、計算および支払の方法、賃金の締切りおよび支払の時期に関する事項

(5)退職に関する事項(解雇の事由を含む)

(6)昇給に関する事項

なお、(1)〜(5)については、文書にして労働者に交付しなければならないこととされています。

2、以下の 制度を設ける場合に明示すべき事項

(1)退職手当に関する事項

(2)賞与等および最低賃金額に関する事項

(3)労働者負担の食費、作業用品等に関する事項

(4)安全・衛生に関する事項

(5)職業訓練に関する事項

(6)災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項

(7)表彰・制裁に関する事項

(8)休職に関する事項

会社のルールをしっかりと定めていますか?(事業主向け)

平成23年12月26日に、精神障害等の労災認定基準が通達として出され、精神障害に罹患した従業員に対して継続したいじめやセクハラが職場でおこなわれた場合、申請者がそれを録音などにより立証すると労災認定される可能性があります。
さらに、経営者や管理監督者がいじめやセクハラの事実を知りながら、何ら対策を講じなかった場合は、安全配慮義務違反で多額の損害賠償を請求される可能性もあります。

このようないじめやセクハラが職場で発生しないためにはどうしたらよいのでしょうか?
もちろん、ハラスメントが発生しない職場環境にすることは大事ですが、そのためにはどのような行為がハラスメントに該当し、ハラスメント行為者に対し厳しい懲戒を課すと記したハラスメント細則を作成する必要があります。
ハラスメント細則を作成するに際しては、先ほど述べた精神障害等の労災認定基準に該当するようなハラスメント行為が確認された場合は、会社としては厳しい処分を下すなどの規程を設けましょう。当然、ハラスメント調査委員会の設置も細則に記載し、会社側がハラスメント根絶に本気である姿勢を従業員に示しましょう。

認定基準が割りと明確になったことで、企業としてはハラスメント対策を講じやすくなったはずです。
ただ、認定基準の出来事をおこなった者をハラスメント細則で処分するためには、客観的な調査も必要です。そのためにハラスメント調査委員会を設置する訳です。
自社の労働者が労災認定された場合、労働者が安全配慮義務違反で会社を訴える可能性もあり、そうなると会社名が報道などで知られてしまい企業イメージの低下は避けられません。
ブラック企業の烙印を押されないためにもハラスメント細則を定めましょう。

(2014年6月11日 A.M)

完全禁煙にしてみませんか?(事業主向け)

この記事をご覧の事業主の方、職場を完全禁煙にしてみませんか?
政府の成長戦略会議では、2020年までに職場の完全分煙化100%達成を目指していますし、分煙化に際しては受動喫煙防止対策助成金として要した費用の1/2(半分)を要件を満たせば負担してくれます。
しかし、完全分煙化をおこない、安全配慮義務を履行したとしても職場における健康増進の抜本的な対策にはなりません。
タバコのパッケージを見て下さい。
「喫煙は、あなたにとって脳卒中の危険性を高めます。」
と記載があります。
販売しているJTやフィリップモリスが健康障害のリスクが高まると警告しているのです。
有能な人材を喫煙による健康障害で長期離脱されたら困るのは経営者の方々です。
であるならば、分煙化に要する費用を事業所敷地内完全禁煙化のために使ってみませんか?
日本における喫煙者率は約20%ですが、そのうち消費増税後に禁煙に挑戦したいと考えている方は44.1%にも上ります。
こうした方々の中には、経営する会社の従業員も含まれているはずです。
会社で完全禁煙を実施するのに際し、分煙化せずに済んだ費用を喫煙者の禁煙支援費用に回すことも出来ます。また、一定の期間禁煙を達成した場合に報奨金を支給することで、モチベーション向上にも資するはずです。
しかし、経営者単独での完全禁煙化宣言は喫煙者の反発を招きます。衛生委員会(安全衛生委員会)で議論した上で、完全禁煙化プロジェクトに喫煙者も加えて話し合い、決める事で会社の総意として完全禁煙を実施できるはずです。
従業員の健康増進のためにも、会社内完全禁煙化を私はオススメします。

(2014年6月10日 A.M)

「育児休業給付が4月1日から育児休業開始から6カ月の給付金は賃金の67%へ」

「育児休業給付が4月1日から育児休業開始から6カ月の給付金は賃金の67%へ」
育児介護休業法の規定によって、働く男女の労働者は育児休業を取得することができます。その育児休業期間中の賃金については、使用者は休業している労働者に賃金を支払う必要はありませんが、しかしそれでは育児をする労働者は育児休業を取ることが困難となります。育児休業期間中の所得保障をしているのが、雇用保険の育児休業給付金です。
その育児休業給付金は法律上は休業を開始した時の賃金の100分の40ですが、暫定措置で100分の50の給付をするように定められていました。
2014(H26)年4月からは、さらに育児休業開始した時から最初の6カ月間(180日間)は100分の67%へとさらに給付金が増えることなりました。
支給を受けるには、「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書に休業開始時賃金証明票を添えて、休業を開始した日の初日から起算して4ヶ月を経過する日の属する月の末日までに所轄公共職安所長に提出する必要があります。(2014年4月7日稲垣 真司)

「社内のいじめと安全配慮義務との関係」

「社内のいじめと安全配慮義務との関係」 勤務中などに社内の同僚からいじめなどの行為を受けている例については、誰もが身近なことだったと思い起こせるのではないでしょうか。最近は、いじめなどの陰湿な嫌がらせなどを含めた行為を「モラルハランスメント」という呼称でも広がりはじめていると思います。
社内のいじめは、社員同士の関係なのだから上司を含む使用者はノータッチでもいいという風潮が職場内には存在していることも会社で働けば、これもまた身近なこととして実感できるのではないでしょうか。

 このような社内いじめの使用者の放置や無関心は、いじめのターゲットにされている被害社員の心をむしばみ不眠や疲労など心身ともに健康を害していく結果につながっていきます。また、正常な業務を継続する条件を阻害することにつながり業務提供面からしてもいじめの放置は社内運営上問題があることになります。
 では、このようないじめの問題について労働法はどのような態度をしてきているでしょうか。これまでの裁判例では職場での上司や同僚の陰湿な嫌がらせ行為への安全配慮義務違反と認められた例がではじめています。社内のいじめを認識していたにもかかわらず被害者の生命及び身体を危険から防護することや職場環境を改善する努力を怠っていたとなれば安全配慮義務違反にとわれる可能性は以前よりもずっと高くなっています。
 安全配慮義務とは、現在は労働契約法第5条で「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするもとする」と定められています。
 これは単なる抽象的な規定ではなく、これまでの安全配慮義務違反を判示してきた各判例では具体的な防止・防護策を検討するように命じています。参考判例は、「自衛隊八戸工場事件」(最三小判昭50.2.25)、「川義事件」(最三小判昭59.4.10)をあげられます。(2014年3月17日稲垣 真司)

「みなし労働時間制の導入そして運用」

「みなし労働時間制の導入そして運用」

私は社会保険労務士でもあり、健全な労使関係の構築に資する記事をご提供できればと考えております。

今回は最近のニュースでも話題の阪急トラベルサポート事件判決を踏まえた、「みなし労働時間制」の導入と運用について述べさせて下さい。…

阪急トラベルサポート裁判で問題になった「みなし労働時間制」を導入・運用するためには企業はどのような点について留意しなければならないのでしょうか?

まず、導入に際しては単に「添乗員や営業職員は営業所の外で労働するのだから、当該労働者にはみなし労働を適用できるはずだ。」と思ったら大間違いです。

朝営業所に出勤し、帰りに営業所に戻り業務報告などをおこなうようでしたら、みなし労働を適用することはできません。なぜなら始業・終業時間を会社が「管理」できるからです。

みなし労働を適用するには、対象労働者の直行・直帰が原則となります。

さらには労働時間を「みなす」訳ですから、業務遂行に際して”通常”必要とされる時間をみなし労働時間としなければなりません。”通常”必要な時間が1日8時間(法定労働時間)を超えるようでしたら、当然割増賃金の支払いも必要ですし、労使協定を締結して労基署への届出も必要となります。

もちろん就業規則にはみなし労働時間制を採用している旨を定めて、ようやく導入することができる訳です。

導入後は、タイムカードなどによる労働時間管理をおこなうことや、携帯電話で業務遂行に際し会社の指示を出すことはできません。

労働時間を”みなせる”理由として「客観的に労働時間の算定が困難」であると最高裁が判断した以上、適用した労働者の裁量により業務全般のタイムスケジュールを任せる必要があるからです。

阪急トラベルサポート裁判で、最高裁の判断が示されたことにより、今までみなし労働時間制を採ってきた多くの会社で労働時間管理が「客観的に算定に困難」であるかの検証が必要になってくることでしょう。

また労働者の就労実態によっては、みなし労働時間制から実態に即した労働時間制度へ変更する必要も出てくるはずです。
(2014年3月7日 A.M)

「契約更新時の空白期間があっても厚生年金保険・健康保険は変わらない」

「契約更新時の空白期間があっても厚生年金保険・健康保険は変わらない」

2014年1月17 日付けで日本年金機構事業管理部門担当理事宛に、厚生労働省保険局保険課長と同省年金局事業管理課長名で、「厚生年金保険及び健康保険の被保険者資格に係る雇用契約又は任用が数日空けて再度行われる場合の取扱いについて」という通達が出されました。…

どのような内容かをみるには、契約更新をする際に空白期間をおく背景を知っておく必要があります。

有期の労働契約・パート労働契約などで、労働者を連続して使用していると厚生年金保険や健康保険の被保険者資格を取得しなければならない必要があります。

しかし短期の雇用期間を結んでおいて期間満了が来たら契約更新を繰り返す際にわざわざ1日ないし数字の空白の期間を設けるということをする使用者がいます。

それは空白期間を置くことで、雇用契約の連続更新というかたちをつくらずにおくことで、雇用契約上、長年雇っている従業員を常に新規の採用したばかりの労働者とすることを目的としています。

通達はそうした現実の雇用契約更新において空白期間をおいて退職と新規採用を擬似する仕組みに、「就労の実態に照らして判断される場合には、被保険者資格を喪失させることなく取り扱う」という行政通達をだしたわけです。

これは契約と契約の間に1日ないし数日の契約のない空白期間をつくることに対して社会保険の取り扱いでは、連続して雇用される契約更新する労働者とみなしています。

しかし、空白期間を置くようなことをなぜわざわざするのでしょうか。空白期間をつくることによって雇い入れの日から雇用期間6ヶ月を超えないので有給休暇が発生しないこと、1年を超えないので雇い止め予告が不要となることなどが言われています。

通達の文書では、空白期間があっても厚生年金保険・健康保険の被保険者資格はそのままで取り扱うようにと明言しています。

本来は、雇用期間に関する社会保険の適用除外(厚生年金や健康保険に加入しなくてもいいということ)となるのは、社会保険の適用事業所に2か月以内の雇用期間を定めて雇用される者なのです。

2か月以内の雇用期間の場合は、フルタイムの労働時間働くパート労働者といえども社会保険の適用除外者となります。

期間雇用といえども通常の働き方なら多くが社会保険の適用があります。

これまではこうした空白期間を設定しているため、いちいち社会保険を喪失したり取得したりということを繰り返すことにつながります。

また、空白期間は原則的に国民年金や国民健康保険に加入する必要があるので、本当に空白期間に対して被保険者資格を喪失・取得を繰り返していた場合は、労働者側にも多くの手続きの負担がかかってきます。

このように、わずかな使用者側の都合から、社会保険にまで影響している実態がありました。

もうこのようなことをやめよというのが、上記の通達なのです。

(2014年3月7日 稲垣 真司)

「ある居酒屋チェーン店の新卒給与(定額残業代)」

「ある居酒屋チェーン店の新卒給与(定額残業代)」

これからお話する給与はある大手居酒屋チェーンの新卒給与についてです。実際に大手居酒屋チェーンがリクナビ・マイナビに掲載している新卒の募集要項を参考にしたものです。
その新卒の賃金は大卒で205,000円でその中には45時間の残業代(OJT手当というそうです)が含まれています。…
それでは計算してみましょう。

(月の所定労働時間)
177時間
(177時間に45時間の割増時間を加算)
177+45×1.25(割増率)=233.25時間
(手当込賃金総額205000円の時給換算額)
205000円÷233.25=878.885・・(1円未満四捨五入)
時給換算 879円
割増賃金単価の計算
879円×1.25≒1099円
時間外労働時間数を計算
49455円÷1099円=45時間
基本給+職務給155545円、OJT手当49455円(時間外労働45時間を含む)
→205000円

この記事をご覧の学生の方、ここで働きたいですか?
この記事をご覧の経営者の方、これで若い有能な人材は定着すると思いますか?
この金額の善し悪しについては筆者の私見は述べません。あくまでもご覧の方の社会通念で判断して下されば幸いです。

(2014年3月6日 A.M)

「残業代が支払われていない方へ」

「残業代が支払われていない方へ」

残業代45時間分は○○手当に含む。…
係長以上には残業代は支給しない。
営業職は会社で労働時間を把握できないので1日8時間労働したとみなす。
etc

上記のような理由で残業代が支払われていない方がいると思います。
手当に含む場合は基本給部分と残業代部分を明確に区分しなければなりません。
係長には残業代を支払わなければなりません。
営業マンでも携帯電話で会社から指示を受けたり、会社からその日のスケジュールに関して指示を受けていれば、みなし労働時間にはなりません。
しかし、労働者よりも労働者を雇っている側の会社の方が強い現実もあり、なかなか残業代を支払ってほしいとは言い出せないものです。
また、残業代を支払ってほしい旨を伝えても一蹴されてしまうとか、一蹴だけではなくパワハラの対象にされてしまったり、ひどい時には雇用不安を煽られたりと、立場の弱い労働者にとっては厳しい現実もあります。
だからと言って諦めることはありません。
記録を取りましょう。
まずはインターネットで検索すればダウンロードできるエクセルファイルなどを入手し、ご自身の働いた時間を入力して下さい。
それだけにとどまらず、残業をした証拠を残しましょう。
ご自身で残せる証拠は、携帯電話のカメラで会社の時計を退社時間に撮影し保存すること、会社帰りに会社近くのコンビニで買い物をし、そのレシートを保存すること、電車で通勤されている方はSuicaなどの乗車履歴を発行してもらうこと(券売機ではなく、駅受付で発行してもらって下さい。)など可能な限り証拠を残して下さい。
まだあります。
GPS機能を使ってソーシャルネットワークサービスに書き込みをするという方法です。
「今、仕事終わりました。」
と位置情報を発信して書き込みをすれば、会社に残って残業していた証拠になるはずです。
これらの証拠が、いずれあなたの助けてくれます。
残業代を請求する勇気が出た場合や、会社から何らかの不利益を受けた時にはこうした証拠が絶大な効果を発揮します。
また長時間労働で倒れたり、精神疾患に罹患した場合は労災申請に際して重要な添付書類となります。
ある大手飲食チェーン店のように1日10時間しか労働時間を入力できない状況下で働かされていても、あなたが記録し、証拠を残した労働時間があなたを救ってくれます。
まずは記録から始めましょう。

(2014年3月6日 A.M)

過労死(過労自死)および精神疾患の労災申請の激増について

過労死(過労自死)および精神疾患の労災申請の激増について

近年、過労死(過労自死)および精神疾患による労災申請件数が激増しています。例えば平成7年(1995年)の精神障害にかかる労災申請件数は13件であったのに対し、平成23年(2011年)の申請件数は1272件、約98倍も増えています。また、過労死の原因とされる脳・心臓疾患の労災申請も同様に増加しています。

下のグラフ(2009年厚生労働省資料)を見てもらうと、年々申請(請求)件数が増加していることが分かります。
労災グラフ

厚生労働省ホームページ「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況」よれば、電通事件(※)の最高裁判決や平成11年(1999年)に過労死の労災認定にかかる判断指針が旧労働省から出されたことが申請(請求)件数の増加につながったと記されています。

また、平成23年(2011年)12月26日に厚生労働省の“通達”として「心理的負荷による精神障害の認定基準」が出されたことにより、以前よりも認定基準が明確化されたことから、平成24年の支給決定件数475件(認定率39%)と平成21年(2009年)に比して約2倍に増加しました。
このように、激増する労災申請ですが、通達で出された「36の出来事」を客観的に証明しなければ不支給決定されてしまう厳しい現実もあります。

労災申請すべきか迷われている被災労働者の方々は、ぜひ当会に相談下さい。私たちのアドバイスが労災申請に資すれば幸いです。(2014年3月4日 A.M)

(※)電通事件
24歳の男性が、長時間労働の末にうつ病を発症し自殺した事案です。男性の両親は会社に損害賠償を請求し、最高裁判所まで争われました。最高裁判所は、男性の過重労働と民事上の損害賠償請求の因果関係を初めて認め(平成12年3月24日最高裁第2小法廷判決)、その後、会社側が遺族(両親)に1億6000万円を支払い和解が成立しました。精神障害が労働災害であると判断された重要な意味を持つ事案です。